日本語は表現が豊富だ。もともと同じ意味なのに違った表現をする言葉も多い。外来語から生まれた和製外国語も多い。そんな中、アルバイトとパートは、違いがよくわからないで使っている言葉のひとつだろう。
個人的な感覚で恐縮だが、アルバイトと聞けば学生を思い浮かべるし、パートと聞けば中年の主婦を思い浮かべる。もっと、イメージを深めると、アルバイトは汗くさい男子の仕事で、パートは軽作業の女性の仕事のように漠然と思ってしまう。
ところが、アルバイトもパートも労働法上、何の違いもない。どちらも同じ「パートタイム労働者」という括りに収まる。よって、一定期間働けば、社会保険が適用されるという待遇面にも、両者間に違いは全くない。
強いていうならば、アルバイトはドイツ語の「アルバイテ」が語源で、パートは英語の「パートタイマー」が語源だということぐらいの違いだろう。正規労働者に対して一部の時間だけ勤務する人をパートと呼び、本業を持ちながら副業として臨時に働く人をアルバイトと呼ぶことで生まれた和製外国語だが、現在ではそんなに厳密な使い分けはされていない。
一般的には、企業の求人欄を見る限り、アルバイトは学生や社会人が臨時的に働きたいもの、パートは主婦などが短時間だけ働き家計を補填するという要求に呼応しているようだ。
ところで、現実問題としてベテラン主婦パートが新入り学生アルバイトとトラブルを引き起こすことが日常茶飯事で起こっているとよく聞く。立場上アルバイトもパートも同じなのだが、仕事を円滑に進めるという意味では、先輩後輩の関係は尊重すべきだろう。