職業における性差

街中でたまに見かける「求人募集」というフレーズは、おかしいように感じる。これは、馬から落ちて落馬したような、頭痛が痛いような、いわゆる重ね言葉だ。そもそも、求人とは、会社などが働く人を探し求めることで、募集とは希望する人を募って集めることである。
広義の意味から考えると、同じ意味の言葉を重ねていることになる。「求人募集」を正しい言い方に変えるのなら「正社員を募集」とか「運転手の求人」とするべきである。利用者自体を募っているつもりで掲げた「駐車場募集」という看板にも違和感を覚えるが、「求人募集」も同じ様に引っかかるのだ。細かいこと気にするなという声が聞こえてきそうだが。

ところで、女性の仕事に対する募集には、以前では考えられない分野にまで及んでいる。例えば、トラック運転手とか、タクシーの運転手とか、建築現場監督などがある。男女同権を標榜しているのだろうが、いざ女性が男性向けの求人に応募したら門前払いになってしまったというケースもよく耳にする。男女平等は大切なことだが、無理に男女を募集しなければいけないといった風潮はどうかと思う。
女性として生まれたからには、女性の特性を生かせる仕事に就きたいと考える方も多いだろう。
女性向けの仕事を例えるなら、看護師、キャビンアテンダント、インフォメーションカウンター、ホテルの受付カウンター、お客様からのクレーム電話の対応などである。男性でも優秀な人材なら、こういった職種でも器用にこなす男性はいるのだが、やはり女性のようなきめの細かい対応は期待できないだろう。女性としての強みを活用できる仕事に就くと将来的にも強いだろう。特に女性にとって、収入も職場も安定した看護師の求人は狙い目であることは間違いないだろう。

だが、これは私だけの独断かつ偏見の何ものでもない。人間性は性差で決まるモノではない。一人ひとりが持って生まれた資質におけるものが大きい。女性トラドラも、女の運ちゃんも、男性の看護師も法律違反でも犯罪でもない。その人の仕事に向かう心根が一番大切なことだ。それが、求人するにしても、募集するにしても一番に留意せねばならない点だ。